「資産運用」って何があるの?主要な種類とメリット・デメリットを徹底解説

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「将来のために何か始めたいけれど、資産運用って難しそう」「銀行に預けておくだけでは、お金が増えない気がする」。そんな風に感じている方は多いのではないでしょうか。特に最近は物価が上がるインフレのニュースも耳にするようになり、お金の価値が実質的に目減りしてしまうことへの不安から、資産運用への関心が高まっています。しかし、いざ始めようと思っても、「資産運用にはどんな種類があるの?」「自分には何が合っているんだろう?」と、たくさんの選択肢を前に戸惑ってしまうかもしれません。この記事では、資産運用の主要な種類について、それぞれのメリットやデメリット、そして関連するお得な制度などを、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。あなたに合った資産運用の手段を見つけるお手伝いができれば幸いです。

資産運用を始める前に知っておきたい基本の「き」

資産運用と聞くと、すぐに「お金を増やす方法」を思い浮かべるかもしれませんが、その前に押さえておくべき大切な基本的な考え方があります。やみくもに始めてしまうと、思わぬ損失を被ったり、不安で続けられなくなったりすることもあります。まずは、上手に資産運用を行っていくための土台となる知識を身につけましょう。

「リスク」と「リターン」の関係

資産運用を考える上で、絶対に切り離せないのが「リスク」と「リターン」という二つの言葉です。リターンとは運用によって得られる期待収益のことを指し、リスクとは一般的に「危険」という意味で使われますが、資産運用の世界では「リターンの振れ幅(不確実性)」を意味します。つまり、大きく儲かる可能性がある(リターンが大きい)金融商品は、同時に大きく損をする可能性(リスクが大きい)も秘めている、ということです。逆に、リスクが小さい(元本割れの可能性が低い)金融商品は、期待できるリターンも小さい傾向にあります。この「リスクとリターンは表裏一体」という関係性を理解することが、資産運用を始める上での第一歩となります。

自分の「リスク許容度」を知る

リスクとリターンの関係を理解したら、次に考えるべきは「自分自身がどれくらいのリスクを受け入れられるか」、すなわち「リスク許容度」です。リスク許容度は、人それぞれ異なります。年齢、収入、家族構成、保有している資産の額、投資の経験、そして性格(価格が下がったときにどれくらい冷静でいられるか)など、多くの要因によって決まります。例えば、若くてこれから長く働ける人は、一時的に損失が出ても時間をかけて回復を待てるため、比較的高いリスクを取りやすいかもしれません。逆に、退職が近い人や、近い将来に使う予定のあるお金を運用する場合は、大きなリスクは避けた方が賢明でしょう。自分のリスク許容度を把握せずに、周りの人がやっているからという理由だけでハイリスクな商品に手を出すのは危険です。

資産を守る「分散投資」と「ポートフォリオ」

「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言を聞いたことがあるでしょうか。これは、大切な卵をすべて一つのカゴに入れておくと、もしそのカゴを落とした場合にすべての卵が割れてしまうかもしれない、だから複数のカゴに分けておきなさい、という意味です。資産運用も同じで、すべてのお金を一つの金融商品に集中させてしまうと、その商品の価格が暴落したときに大きな損失を被ってしまいます。そうした事態を避けるために有効なのが「分散投資」です。値動きの異なる複数の資産(例えば、国内株式と外国債券、不動産など)に分けて投資することで、どれか一つが値下がりしても、他の資産が値上がりすることで損失をカバーし、全体として安定したリターンを目指すことができます。そして、この「どの資産をどれくらいの割合で組み合わせるか」という具体的な設計図のことを「ポートフォリオ」と呼びます。

まずはここから?比較的リスクが低い資産運用の種類

資産運用には様々な種類がありますが、まずは比較的リスクが低く、多くの人にとって身近なものから見ていきましょう。大きなリターンは期待しにくいかもしれませんが、お金を「守る」あるいは「少しだけ増やす」ことを目的とする場合には、これらの選択肢が土台となります。

日常生活に身近な「預貯金」

私たちにとって最も身近な資産運用の形が、銀行の普通預金や定期預金といった「預貯金」です。最大のメリットは、その安全性と流動性の高さでしょう。銀行が破綻しない限り(日本の場合はペイオフ制度により一定額まで保護されます)、元本が割れることは基本的にありませんし、必要なときにすぐにお金を引き出せる流動性は大きな安心感につながります。一方で、デメリットはご存知の通り、現在の超低金利下ではほとんど利息がつかないことです。お金は減りませんが、物価上昇(インフレ)が続くと、実質的にお金の価値は下がってしまいます。そのため、預貯金は生活防衛資金(いざという時のためのお金)として確保しつつ、それを超える部分で他の運用を考える、というのが一般的なアプローチになります。

日本円以外の選択肢「外貨預金」

預貯金の一種ですが、日本円ではなく米ドルやユーロなどの外国の通貨で預金するのが「外貨預金」です。メリットとしては、日本円の預金よりも高い金利が設定されている場合があること、そして、預けた時よりも円安(例:1ドル100円→120円)になれば、円に戻した際に為替差益を得られる可能性があります。しかし、逆に円高(例:1ドル100円→80円)になれば、為替差損によって元本割れを起こすリスクがあります。また、円を外貨に換える時と外貨を円に戻す時の両方で為替手数料がかかる点も考慮しなくてはなりません。為替の動きを予測するのはプロでも難しいため、リスクを理解した上で利用する必要があります。

国や企業にお金を貸す「債券」

「債券」とは、国や地方公共団体、企業などが、投資家からお金を借りるために発行する「借用証書」のようなものです。債券を購入するということは、それらの発行体にお金を貸すことを意味します。メリットは、あらかじめ決められた利率に基づいて定期的に利息を受け取ることができ、満期日(償還日)を迎えれば、元本(額面金額)が戻ってくることです。株式に比べると価格変動リスクは小さい傾向にあります。ただし、デメリットもあります。発行体である国や企業が財政難や経営不振に陥ると、利息や元本が支払われなくなる「信用リスク」があります。また、満期日より前に売却しようとすると、その時の市場価格によっては元本割れすることもありますし、インフレが進むと、固定された利息の実質的な価値が下がってしまう可能性もあります。

リターンを目指したい方向け 主な資産運用の種類

ここからは、預貯金や債券よりも高いリターンを期待できる可能性がある一方で、それに伴うリスクも高くなる資産運用の種類を見ていきましょう。これらは、お金に働いてもらうことで、資産を積極的に増やしていくことを目指す手法です。

会社の成長に投資する「株式投資」

「株式投資」とは、株式会社が発行する株式を購入し、その会社のオーナー(株主)の一員になることです。主なメリットは三つあります。一つ目は、株価が安い時に買って高い時に売ることで得られる「値上がり益(キャピタルゲイン)」。二つ目は、会社が利益を出した時に株主に分配される「配当金(インカムゲイン)」。三つ目は、企業によっては自社製品やサービス券などを提供する「株主優待」です。企業の成長を応援しながら、その恩恵を受けられるのが魅力です。しかし、デメリットとしては、企業の業績不振や市場全体の冷え込みによって株価が下落し、損失を被る「価格変動リスク」があります。最悪の場合、会社が倒産してしまうと、株式の価値がゼロになってしまう可能性もあります。

プロにお任せ「投資信託」

「投資信託」(ファンドとも呼ばれます)は、多くの投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券、不動産などに分散投資し、そこで得られた成果を投資家に還元するという仕組みの金融商品です。最大のメリットは、個人では難しい「少額からの分散投資」が可能になる点です。例えば1万円でも、国内外の様々な株式や債券に投資する投資信託を買えば、自動的に分散投資が実現します。また、運用のプロに任せられるため、初心者の方でも始めやすいでしょう。デメリットとしては、元本が保証されているわけではなく、運用成績によっては損失を被る可能性があることです。また、運用を専門家に任せるため、「信託報酬」と呼ばれる手数料が運用期間中ずっとかかります。

「不動産投資」で家賃収入を目指す

「不動産投資」は、マンションやアパート、オフィスビルなどの不動産を購入し、それを他人に貸し出すことで家賃収入を得たり、購入時よりも高く売却することで利益を得たりする投資方法です。アパート経営などがその代表例です。メリットとしては、家賃という形で定期的な収入(インカムゲイン)が期待できること、不動産という「実物資産」であるためインフレ対策になると言われていること、また、金融機関からの融資を利用して自己資金以上の規模の投資(レバレッジ効果)ができる可能性がある点です。デメリットは、初期費用が非常に高額になること、空室が発生すると家賃収入が得られない「空室リスク」、建物の老朽化に伴う修繕費や管理コストがかかること、そして株式などと違って売りたい時にすぐに売れない流動性の低さが挙げられます。

大きなリターンも狙える「FX(外国為替証拠金取引)」

「FX」は、”Foreign Exchange”の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれます。これは、米ドルと日本円、ユーロと米ドルといった異なる二国間の通貨を売買し、その価格変動によって利益を狙う取引です。メリットは、預けた証拠金(担保となるお金)の何倍もの金額を取引できる「レバレッジ」という仕組みにより、少額の資金でも大きな利益を狙える可能性があることです。また、株式市場とは異なり、原則として24時間取引が可能なため、日中は仕事で忙しい人でも取り組みやすいと言えます。しかし、このレバレッジはデメリットと表裏一体であり、予想と反対に為替が動いた場合には、預けた証拠金以上の大きな損失を被る可能性がある、非常にハイリスク・ハイリターンな取引です。為替の変動要因は複雑であり、初心者には難易度が高い側面があります。

賢く増やすためのお得な制度「NISA」と「iDeCo」

資産運用を始めるにあたり、ぜひ知っておきたいのが、国が用意してくれている税制優遇制度です。通常、株式投資や投資信託などで利益が出ると、その利益に対して約20%の税金がかかります。しかし、これから紹介する「NISA」や「iDeCo」といった制度の口座内で運用すれば、その利益が非課税になるという大きなメリットがあります。

自由度の高い非課税制度「NISA(ニーサ)」

「NISA(ニーサ)」は、「少額投資非課税制度」の愛称です。NISA口座内で株式や投資信託などを購入すると、そこで得られた売却益や配当金・分配金にかかる税金が非課税になります。最大のメリットは、何と言ってもこの非課税の恩恵を受けられる点と、投資したお金をいつでも引き出すことができる流動性の高さです。趣味や旅行、住宅購入の頭金など、人生の様々な目的に合わせて柔軟に活用できます。特に2024年から始まった新しいNISAでは、非課税保有期間が無期限化され、年間の投資枠も大幅に拡大するなど、さらに使いやすくなりました。少額から始められるので、初心者の方が資産運用の第一歩として利用するのにも適しています。ただし、他の口座(特定口座や一般口座)との損益通算(損失が出た場合に他の利益と相殺すること)ができないなどの注意点もあります。

老後資金作りに特化「iDeCo(イデコ)」

「iDeCo(イデコ)」は、「個人型確定拠出年金」の愛称で、自分で掛金を拠出し、自分で選んだ金融商品(定期預金、保険、投資信託など)で運用し、その成果を将来、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取る、私的な年金制度です。iDeCoの最大のメリットは、NISAと同じく「運用益が非課税」という点に加えて、「掛金全額が所得控除の対象」になることです。つまり、iDeCoに拠出した金額分だけその年の所得が減り、所得税や住民税が軽減されるという強力な節税効果があります。これは、現役で働いて税金を納めている人にとっては非常に大きなメリットです。ただし、最大のデメリットとして、老後資金の準備を目的とした制度であるため、原則として60歳になるまで拠出したお金を引き出すことができません。

長期的な資産形成を成功させるコツ

資産運用の種類やお得な制度を知ったところで、最後に、実際に資産運用を始め、そして続けていくための大切なコツについてお話しします。資産運用は、短期間で大きな利益を狙うギャンブルではありません。将来に向けて、着実にお金を育てていくための息の長い取り組みです。

時間を味方につける「複利効果」

アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだとも言われるのが「複利効果」です。複利とは、運用で得られた利益を元本に加えて再び運用することで、利益が利益を生み、雪だるま式にお金が増えていく仕組みのことです。例えば、100万円を年利5%で運用した場合、単利(利益を再投資しない)だと1年目の利益は5万円、2年目も5万円ですが、複利(利益を再投資する)だと1年目の利益は5万円、2年目は元本105万円に対して5%の利益(5万2500円)がつきます。この差は小さく見えるかもしれませんが、運用期間が長くなればなるほど、その差は圧倒的に大きくなります。資産運用において「時間」は最も強力な味方の一つであり、複利効果を最大限に活かすためには、できるだけ早く始め、長く続けることが重要です。

コツコツ続ける「積立投資」

複利効果を活かすためにも有効なのが「積立投資」です。これは、毎月1万円ずつ、などと決まった金額を定期的に継続して買い付けていく投資手法です。一度設定してしまえば、あとは自動的に投資が続けられるため、忙しい人や、投資のタイミングに悩んでしまう人にも向いています。まとまったお金がなくても少額から始められるので、初心者の方が投資に慣れていくための方法としても最適です。大切なのは、日々の価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点でコツコツと続けることです。NISAやiDeCoといった制度は、この積立投資と非常に相性が良いと言えるでしょう。

価格変動リスクを抑える「ドルコスト平均法」

積立投資を行う際に、知らず知らずのうちに実践していることが多いのが「ドルコスト平均法」という購入手法です。これは、毎月「一定金額」を買い続けることで、金融商品の価格が高い時には少なく、価格が低い時には多く購入することになり、結果として平均購入単価を平準化させる効果が期待できる方法です。例えば、価格が変動する投資信託を毎月1万円ずつ買う場合、価格が高い月は少ししか買えませんが、価格が安い月にはたくさん買うことができます。これを続けることで、高値で一括購入してしまうリスクを避けることができます。ただし、ドルコスト平均法は将来の利益を保証するものではなく、常に価格が右肩上がりの状況などでは、最初に一括投資した方が成果が良くなる場合もあります。

まとめ

この記事では、「資産運用」の主要な種類として、預貯金や外貨預金、債券といった比較的リスクの低いものから、株式投資、投資信託、不動産投資、FXといったより高いリターンを目指すものまで、それぞれのメリットとデメリットを解説してきました。また、資産運用を始める前に知っておきたいリスクとリターンの関係、リスク許容度、分散投資やポートフォリオといった基本的な考え方、そしてNISAやiDeCoといったお得な税制優遇制度についてもご紹介しました。

資産運用には本当にたくさんの選択肢がありますが、どれが一番優れているということはありません。大切なのは、それぞれの特徴を理解し、ご自身の「リスク許容度」や「運用の目的(何のためにお金を増やしたいのか)」「運用できる期間」に合わせて、最適な組み合わせ(ポートフォリオ)を見つけることです。

そして、資産形成を成功させる最大の秘訣は、時間を味方につけて「複利効果」を活かしながら、「長期・積立・分散」を心がけることです。この記事を参考に、まずはご自身の状況に合った少額投資からでも、資産運用の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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