貯蓄と保障を両立! 保険 積立とは のキホンを徹底解説

貯蓄・節約

「将来のためにお金を貯めたいけれど、ただ銀行に預けておくだけでいいのだろうか」「もし自分に万が一のことがあったら、家族は大丈夫だろうか」そんな不安を同時に抱えている方は少なくないでしょう。貯蓄もしたい、でも万が一への備え(保障)も必要。この二つのニーズを一度に満たす選択肢として注目されるのが「積立型の保険」です。

一見すると複雑に見えるかもしれませんが、その基本的な仕組みは「支払う保険料の一部が将来のために積み立てられ、同時に万が一の際の保障も得られる」というものです。この記事では、そんな「保険の積立」とは具体的にどのようなものなのか、その基本からメリット、注意点までをわかりやすく解説していきます。

そもそも「保険の積立」とは何か

「保険の積立」とは、一般的に「貯蓄型保険」と呼ばれる種類の保険を指します。あなたが支払う「払込保険料」は、実は二つの部分に分かれています。一つは、病気や死亡といった万が一の事態に備えるための「保障」部分。もう一つは、将来受け取るためのお金を貯めていく「積立」部分です。この積立部分があるおかげで、保険期間が満了した時や、ある程度の期間が経過した後に解約した時に、お金が戻ってくる仕組みになっています。つまり、保険料を支払いながら、将来のライフイベント(例えば子供の教育資金や自分の老後資金)に向けた資産形成を同時に進めることができるのです。

「掛け捨て型」との決定的な違い

保険には、この貯蓄型保険の対極として「掛け捨て型保険」と呼ばれるものがあります。これは、保険料が「保障」部分にのみ充てられるため、保険料が比較的安価であるという特徴があります。しかし、その名の通り「掛け捨て」なので、解約したり満期を迎えたりしても、支払った保険料が戻ってくることは基本的にはありません。一方、積立型の保険は、貯蓄の機能も持つため、その分だけ掛け捨て型に比べて払込保険料は高くなる傾向があります。どちらが良い悪いではなく、「今、手頃な保険料で大きな保障が欲しい」のか、「将来のためにお金を貯めながら保障も確保したい」のか、自分の目的に合わせて選ぶことが重要です。

積立型保険にはどんな種類がある?

積立型保険と一口に言っても、その目的やお金の貯め方によっていくつかの種類に分かれています。それぞれ特徴が異なるため、自分のライフプランやお金を貯める目的に合わせて選ぶことが大切です。ここでは、代表的な三つの積立型保険について、その仕組みとどのような人に向いているのかをご紹介します。 

終身保険

特徴、保障が一生涯続き、いつか必ず保険金が支払われます。払込保険料の一部が積み立てられ、解約時には「解約返戻金」を受け取ることができます。

向いている人は、長期的な視点で資産を準備したい人や、家族に確実にお金を遺したい人。

養老保険

特徴は、保障期間が「60歳まで」などの一定期間で決まっています。満期を迎えた時に「満期保険金」が、期間中に万が一のことがあった時に「死亡保険金」が、どちらも同額で受け取れます。

向いている人は、子どもの教育資金や退職金など、特定の時期にまとまった資金を準備したい人。

変額保険

特徴は、払い込んだ保険料の一部が運用に回され、その実績によって将来受け取る金額が変動します。運用がうまくいけば増える可能性がありますが、「元本割れ」のリスクも伴います。

向いている人、リスクを理解した上で、積極的に資産形成を行いたい人や、インフレ対策を重視する人。

積立型保険の仕組みを理解するキーワード

解約返戻金

意味は、保険契約を途中で解約した際に、契約者に戻ってくるお金です。積立型保険の貯蓄機能によるものです。

特に契約初期に解約すると、解約返戻金がそれまでに支払った保険料の総額を下回る(元本割れする)可能性が高いです。これは、契約初期にかかる経費が差し引かれるためであり、積立型保険は長期間継続することが前提となっています。

払込保険料

内訳では、毎月支払う保険料は、全額が貯蓄に回っているわけではありません。3つの費用に分けられています。万が一の保障のための費用、将来のための積立金、保険会社が運営していくための経費

ポイントは、この内訳を理解することで、「貯蓄」と「保障」がどのように両立されているのか、また掛け捨て型保険より保険料が高くなる理由(積立金が含まれるため)が分かります。

積立型保険のメリットとは?

貯蓄型保険を選ぶことには、単にお金が貯まるという以外にも、いくつかの具体的な利点があります。銀行預金や他の金融商品にはない、保険ならではの特性が、多くの人にとって魅力的に映る理由です。ここでは、積立型保険が持つ二つの大きなメリット、資産形成の側面と税制上の優遇措置について詳しく見ていきましょう。

将来に向けた「資産形成」

積立型保険の最大のメリットの一つは、半ば強制的に将来のための「資産形成」ができる点です。銀行の普通預金はいつでも自由にお金を引き出せるため、つい使ってしまいがちですが、保険は一度契約すると、保険料が毎月口座から引き落とされます。解約すると損をする可能性がある(元本割れのリスク)という心理的なハードルが、かえって貯蓄を継続させる力になります。「意志が弱くてなかなか貯金が続かない」という人にとって、保険料の支払いを続けること自体が、着実な資産形成につながるのです。満期保険金や解約返戻金という形で、将来まとまった資金を受け取れるのは大きな魅力です。

税金がお得に?「保険料控除」

もう一つの見逃せないメリットが、「生命保険料控除」という制度です。これは、一年間に支払った払込保険料の金額に応じて、その年の所得税や住民税の計算対象となる所得金額から一定額が差し引かれる(控除される)仕組みです。年末調整や確定申告で手続きを行う必要がありますが、これにより税金の負担が軽減されます。例えば、終身保険や養老保険などは「一般生命保険料控除」の対象となります。貯蓄をしながら税制上の優遇も受けられるというのは、保険ならではの利点と言えるでしょう。ただし、控除される金額には上限があるため、節税効果も考慮に入れつつ、無理のない保険料を設定することが大切です。

契約前に知っておくべき注意点

積立型保険は、貯蓄と保障を両立できる魅力的な商品ですが、メリットばかりではありません。その仕組みを正しく理解していないと、かえって損をしてしまう可能性もあります。特に「元本割れ」のリスクと、お金の「流動性」については、契約前に必ず確認しておくべき重要なポイントです。

払った分より減る?「元本割れ」

積立型保険における最大の注意点が「元本割れ」のリスクです。元本割れとは、解約した時に戻ってくる解約返戻金が、それまでに支払った払込保険料の総額を下回ってしまう状態を指します。特に契約から数年といった短期間で解約した場合、元本割れが起こる可能性は非常に高くなります。これは、保険料から保障費や運営経費が引かれているためです。また、先に紹介した「変額保険」の場合は、運用の実績次第で、満期を迎えても元本割れする可能性があります。積立型保険は、「長期間、支払いを続けられるか」を慎重に判断してから契約する必要があるのです。

お金の「流動性」が低い

もう一つの注意点は、お金の「流動性」が低いことです。流動性とは、必要な時にどれだけすぐにお金を引き出せるか、という尺度です。銀行の預貯金であれば、基本的にはいつでも必要な金額を引き出すことができます。しかし、積立型保険の場合、お金を引き出す手段は「解約」が基本となり、前述の通り元本割れのリスクが伴います。また、「契約者貸付」という、解約返戻金の一部を借りる制度もありますが、利息が発生します。急な出費に対応するためのお金としては使いにくいため、手元の生活資金は別途確保した上で、余裕資金を積立保険に回すという考え方が重要です。

まとめ

「保険の積立」とは、万が一の際の「保障」を確保しながら、同時に将来のための「貯蓄(資産形成)」も行える「貯蓄型保険」のことです。終身保険や養老保険、変額保険といった種類があり、それぞれ特徴が異なります。

毎月の払込保険料から保険料控除を受けられるといった税制上のメリットがある一方で、早期に解約すると解約返戻金が払込総額を下回る「元本割れ」のリスクや、すぐにお金を引き出しにくいという注意点も存在します。

積立型保険は、銀行預金とも掛け捨て型保険とも異なる特性を持った金融商品です。大切なのは、自分が「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのかを明確にし、その目的に合った保険を選ぶことです。この記事で解説したキホンを参考に、ご自身のライフプランに最適な選択をしてください。

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